2017年06月 船舶免許

 梅雨に入ったが、雨も少なく、庭の苔も乾き気味。アジサイはきれいに咲き、さわやかな風が吹き抜けている。

 五月連休に、三浦半島の先にある油壷のヨットハーバーへ何年ぶりかに出かけた。そして、今月も二カ月連続で、相模湾に出て、クルージングを楽しんだ。今回は、風も強く、短時間で戻り、ソーメンを茹でて、お昼寝も少しして、のんびり過ごした。

 このヨットは、約35年前から仲間に入れていただいている「あおれれ」(サモア語で「空にプカプカ浮かぶ雲」らしい。)という。きっかけは、36年前、ボーイスカウトの高校生チームの指導にディンギー(小型ヨット)を使った訓練を河口湖で行った。リーダーであった大学生時代の自分は、「子どもたちがアクシデントにあった際に、救助に向かえるようにモーターボートが操縦出来たらいいな!」と単純な動機から、「小型船舶」の免許取得を考えた。東海大学海洋学部に進んだ友人に相談し、未経験にも関わらず、「小型船舶一級免許」の講習会。ご縁はそこから始まる。二週に渡る講習と二回の実技。同じメンバーと何度も出会う。講習中の座席の近くに座った二人連れの社会人が、「どこかで船に乗っていらっしゃるのですか?」と話しかけてこられた。「いいえ、ボーイスカウトの訓練で、ディンギーに乗った経験があるだけで、日頃、船には乗っていません。」と答えた。「今度、うちの船に来ませんか?」とお誘いいただいたのがヨットに関わるスタートである。

 ヨットのメンバーは、某商社のヨット部に属した方々中心で、平均、私のより10歳年上の社会人が中心に所有されている船。若手の働き手(当時「奴隷」と呼ばれていた。)を探していたようで、ちょうど声かけをいただいたようである。ところが、問題発生。なんと、「私は船酔いする」ことを自分で知らなかった!!実技講習を受けながら船酔いをする。講師から終了証をいただくときに。「終了証は上げるけれど、金森さんは、レジャーにはならないね~!!」と貴重な助言をいただいた。お誘いいただいた船に行き、桟橋から手漕ぎボートに乗ってヨットに移るまで船酔い。先行き不安なスタート。それから毎週のようにヨット通いするが、船酔いは治らないが、海に出たときの気持ちよさ、湾口に船を係留して、泳いだり、バーベキューをするのが楽しくて、通い続けた。途中かなりのブランクもあったが、メンバーとの陸での懇親会があり、今回久しぶりに登場させていただいた。船酔いは、いまだ健在。ただ、海の状況によっては、ラット(舵)を握っていれば、酔わないこともある。

 先にも述べたが、中心のメンバーは、すでに70歳台。今まで多くの会話を通じて、人生の色々を学ばせていただいてきた。それは現在にも至る。30年から40年の歳月で、学生時代のクラス&部活動同様、関係が継続している仲間たちである。

 年齢も年齢なので、他界された仲間、長らく海外に出ている仲間、10数年ぶりに復活参加する仲間などなど、酒を酌み交わしながら、昔話や、人生訓。楽しいひと時である。酔っぱらったら、そのままキャビンで寝てしまう。音楽はない、聞こえるのは、風の音と、湾内の波の音、ヨットのロープがマストに当たる音。たまに魚が飛び跳ねる音。夏になるとクーラーはないので、蒸し暑くなるが、冷房のダメな自分にとっては、それが心地よい。暑ければ、船の外に出て、甲板で寝転ぶ。雨が降ると濡れるが、お天気のいい朝は、太陽が昇ると、じりじりと暑くなって、目が覚める。

 日頃のスイッチ一つで、何でもできてしまう生活から、不便でも心地よいこの時間を過ごせることは、35年前の出会いによって、今でも続いていることに心から感謝したい。

 皆さんも、長いお付き合いされている仲間が、おいでになりませんか? そんな仲間とのひと時は、本当に人生の財産ですよね!

平成29年6月吉日
悟空の里主人 金森 悟

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●2017年01月 ダウンサイジング&断捨離
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