2024年09月 デジタル・デトックス
携帯電話の普及に始まり、無くては何もできないデジタル社会。皆さんの生活はいかがであろうか?
電車内、約80%以上の人が携帯電話を手に何かしている。内容は不明であるが、読書、SNSのやり取り、ゲームなどであろう。先日、久しぶりに、電車内で新聞を広げて読む男性を見かけた。昔は、朝のラッシュの中、器用に新聞を小さく折りたたみながら読む人もいた。一時期、車内アナウンスで「携帯の電波が、心臓ペースメーカーなどへの影響があるので、電源をお切りください。」と流れたが、最近は「優先席付近では・・・。」と変わった。携帯の普及とともに、少数の集団を守るルールが改正されたのかもしれない。
生命保険の営業時代、お客様とのやり取りは、携帯電話、メールであった。SNSは、セキュリティの関係で会社からは使用禁止。友人など親しい人とのやり取りは、メールに加えて、LINE、Facebook、ショートメールなどSNSを使用した。ただ、複数のツールがあり、どのツールでやりとりしたのか?探すことに苦労する。現在のアルバイトでは、勤務中は、携帯使用は、休憩時間以外、皆無。これは、新鮮である。
さて、国内外で活躍している友人が、情報発信にSNSを使っていたが、ある時からピタッと発信がなくなった。久しぶりに、Facebookで知らされるお誕生日にお祝いメッセージを送った。返信は、「しばらく、デジタル・デトックスをしていた。」とのこと。その言葉を聞いて、思わずうなずいてしまった。
私自身の行動を見直すと、携帯電話は、以前、腕時計をするように一日中持ち歩いている。移動中は、Facebook、LINEの内容を見る。個人間のやり取りは、LINE、メールなどを確認。メールは広告メールが多く、削除に一苦労する。帰宅し、YouTubeを見始めると、つい時間を忘れてしまう。いつごろからか自宅でゆっくり読書する時間がなくなった。これは、携帯を触っている時間に奪われていると自覚する。しかし、原因がわかっても、なかなか切り替えられない自分がいる。
小学生になる孫は、学校での授業はタブレットを使う。帰宅後、宿題もタブレットで行う。それが終われば、携帯、タブレットなどでゲームをする。保育園に通う子供もYoutubeで好きな動画を見るのが楽しみである。そのほかの時間はテレビを見ている。デジタル世界に浸り、一日を過ごしている。
現在の世の中は、デジタル・デバイス無しには、生活&仕事ができない環境に変わった。同時に、その依存による健康被害の懸念がある。また、読書、コンサート、スポーツする&観戦など、リアルに人と接してコミュニケーションするアナログ的な時間が減少し、この先は、どのように変わるのであろうか?
家族との食事の際には、テレビを見ながら箸を持つ手が止まり、食事しながら携帯を触り、自分の食事が終われば携帯をもって、家族と会話もせずに自分の部屋へ戻る。このような光景が当たり前になったようだ。デジタルから離れることは、現代社会の中で難しいと思う。このままでは、家庭という形は変わらないが、昔ながらの家族との会話があり、心通う家族との絆などは、薄れてしまうのではないか?と心配になる。
長年付き合いのあるシェフが「食という字は、人を良くする。」という解説をしてくれた。私なりの解釈にすると、安全な食材、調味料をたくさん使わない料理で、家族・友人らと楽しく会話をしながら食事をいただき、心身ともに豊になっていくことが本来の食卓での時間。食卓は、デジタルから離れてアナログの世界に戻してみませんか?
令和6年9月吉日
悟空の里主人 金森 悟