2016年10月 少子高齢化のゆくえ

 年に一度の母校の大同窓会「連合三田会」へ出かけた。

 日吉のキャンパスを歩いているだけで、先輩、同期、後輩とすれ違う。ご夫婦、家族連れ、友人らと、老若男女があちこちで集う。会う約束もなく、数十年ぶり、十数年ぶり、数年ぶりと出会う機会がここにある。

 OB会の名称は「三田会」といい、卒業年度別、ゼミ、部活動、業種(不動産、ホテル、旅館、税理士、・・・)企業、地域(ニューヨーク、ロンドン ハワイ、福岡、札幌など・・・)などの単位で国内だけで1,000近くの三田会があると思われる。卒業生は36万人といわれる。

 この年に一度の大会には、数千人の卒業生とそのご家族が集結する。それを迎える運営サイドは、開催年の一桁目の卒業年(今年は2016年なので「6」で、2006、1996、1986、1976年卒など)の有志約1,000人が、当番年として、約1年前から実行委員会を立ち上げ、準備を始める。入場は無料であるが、大会券を購入すると、外れなしの記念品をもらえ、さらに大抽選会がある。慶應(KEIO)のK賞(36本:日産、トヨタ、アウディの車、ホテルのスイートルーム宿泊など)、E賞(49本:海外&国内船往復航空券、スーツなど)、I賞(850本:人間ドック、ペア時計、カバン、ディナー券など)、O賞(8,500本:各社商品詰め合わせ)が。特設広場には、50を超える飲食店の出店、「酒蔵広場」には、40を超える塾出身の酒蔵が出店。校舎の中では、塾出身のオリンピック・メダリスト、芸能人らのトークショー、ミュージシャンのコンサート、落語家などのイベントが盛りだくさん。朝から夕方まで、キャンパスで過ごすことができる。

 今回、個人的に目に留まったのは医学部主催の「ドクターに挑戦」で、小学生以上を対象に「内視鏡手術にチャレンジ!」とデモンストレーション体験ができる。他にも、救急救命、血管内手術、血圧測定などを模擬体験させる。私は、高校からの同期の医学部長の講演会に参加。来年100周年を迎える医学部が、次の200周年に向けての展望を聞いた。(彼は、ノーベル賞を取られた京都大学の山中教授と長年iPS細胞の研究をしている。)

 (厚労省の統計から)日本人の人口は、2004年の1億2,000万人をピークに減少しており、2050年には、9,500万人、2100年には、5,000万人を切って明治維新後のレベルに近づくという。「認知症の社会的費用」は、14.5兆円かかる。(内訳は、①医療費1.9兆円、②介護費6.4兆円、③インフォーマルコスト6.2兆円)。この③は、介護をするために仕事を辞めて失う経済的なロスなどを指す。認知症の早期発見、治療の向上により、③の経済的ロスと家族への負担を激減させたいと。さらに、幅広い分野で、医療技術&レベルのさらなる向上のために、国&企業とタイアップして事業&構想を進めているという。なんとも素晴らしい!!

 この大会には、卒業51年以上のOBが招待される。その他、卒業式には卒業25年、入学式には卒業50年にOBを招待する。この継続した母校との絆を大切にする制度が、学校への寄付を安定的に支えている。私は5年前が当番年で、「卒業51年以上招待」の会場運営の担当であった。簡単には、70歳以上の高齢者のお迎えを想定し、車椅子でいらした方をご案内する導線&トイレなどを入念にチェックした。実際は、何と元気な方々ばかりであったか!人数は、600人以上、お酒はどんどんなくなるし、食欲も素晴らしい!

 関連して聞いた医学部講演会、もうひとりの講演者は「平均寿命と健康寿命」の話。日本の場合、男性は、80.21歳と71.19歳。女性は、86.61歳と74.21歳(2013年統計)。この差をできる限り縮めるために、医療&介護のより一層の向上をし、100年先までには、がん治療、認知症治療、介護などが格段に向上する将来像を語ってくれた。一方、この大会への招待者は、日本の健康寿命を超えた大勢のOBたちが集い、生き生きとしている光景は、とても頼もしかった。私は15年後、どんな姿でこの会場にいるのだろうか??

 長寿&健康には、家族&友人らとのふれあい、絆を大切にすることが、一番効果があるのではないのではないだろうか?!と痛感した日であった。みなさんも家族は当然、学生時代の友人らともコミュニケーションを絶やさず、酒を酌み交わし、美味しいものを食べて、年輪を刻んでいきましょう!!

平成28年10月吉日
悟空の里主人 金森 悟

●2016年09月 都内観光
●2016年08月 携帯アプリ
●2016年07月 おふくろの味
●2016年06月 青少年育成
●2016年05月 出雲大社
●2016年04月 大震災に際して
●2016年03月 タクシー