2016年06月 青少年育成
先日、出身大学のOB会の方と大学の事務方を交えた食事会をする機会があった。 我々が、自分の子供たちが学生の頃の教育事情とは、現在では、かなり変わったという話題となった。同じころ、学習塾の役員の方とお会いし、これからの国の教育改革、受験制度が大幅に変わること(センター試験の廃止など)を伺った。日本の将来に向けて、子供たちの教育はどのように変わるのか?自分としては、孫の世代の教育環境は、想像がつかない。一方で、学校の勉強だけではなく、人間教育など、人として、どのように生きていくかの教育は、根本的に家庭の責任と考えてきたが、この辺りも大きく変わるであろう。
ボーイスカウトという青少年の健全育成を目指した活動がある。この活動は、1907年、イギリスのベーデン・パウエル氏がイギリスの将来を懸念し、青少年の健全育成に関する研究に始まる。その後、1909年アメリカに広がり、日本では、1922年に始まった歴史がある。私は、6歳の頃からこの活動に足を踏み入れ、今現在も地元の活動の財務担当として支援をしている。子供たちの活動は、簡単には、チーム&個人ベースで、野外活動に始まり、いろいろな技能種目をこなすことで育成をしている。今振り返ると、私自身、中学生時代に、チームの班長として、10名弱の仲間(小6から中3年)を1-2泊のキャンプや山登りの計画を立て、リーダ(大人)の承認を得て、活動し、報告書を上げる。という作業を必須としていた。計画は、国土地理院の地図を見ながら、地形を見極め、行動工程を決め、野営地を選定し、テントを張る。食材並びに炊事等の準備を事前に行うことも重要である。15歳前後にこのような体験をしたわけである。その後は、高校生、大学生のチーム、また小中学生チームの指導者としての活動も加わる。当時の経験は、自分の人格形成につながってきたと思う。この活動で、今でも印象的なのは、阪神大震災の救援物資運搬活動である。高校生のチームの引率の一人として、現地のボーイスカウトのチームと合流して、芦屋公園にテントを張り、地元の救援支援活動の指示下に入り活動した。被災地の惨状をパトロールし、学校の教室&体育館に積まれた救援物資の整理、移動などを手伝う。高校生たちは、この被災地での体験、将来への危機管理、災害時の対応などを、体をもって学べたことと思う。このような実体験を、ボランティア活動を通じて学べることは、学校教育では、触れることのない素晴らしい人生経験であり、人間形成に大いに役立つに違いないと思う。
2020年に向けて行われる教育改革は、従来の暗記で点数を稼ぐ試験ではなく、「理解と応用力を問う共通試験導入」に変え、グローバル時代にも適用できる教育を目指し、受験生の「人物を見る」狙いで行う。さらに、「大学入学希望者評価テスト(仮称)」では、「思考や判断など知識の活用力を問う」問題となって行くとされている。青少年育成を考える上で、健全で優秀な子供たちが成長する環境&教育を願いたい。
ボーイスカウト活動とは違うが、課外教育ビジネスが充実してきている。少子化による、より高度な教育を受けさせるだけでなく、スポーツなどのジャンルにおいても過熱してきているという。例えば、運動会の徒競走でいい成績を出すために、元オリンピック陸上選手に、野球部で活躍するために、元プロ野球選手に個人指導してもらう場を提供するビジネスが、盛んになってきている。学校の部活動担当の教師兼監督の素人的な指導とは、比較にならないものである。自分としては、そこまでやる必要があるのか?という疑問を始めに持ったが、それを受け入れる(指導する)人材&場があるということは、現実問題として、避けて通れない選択でもあると思う。そのような選択肢があることは知っておいてもいいと思う。子供の特徴、成長の可能性を発見し、伸ばすのは大人である。その見極めとその指導をする人との出会いは、偶然を待つのか、積極的に対価を払ってでも環境を求めることにより、将来への大きな差になっていくことは事実である。
子供向けのビジネスが、成長する中、日本の将来を託す青少年が育成され、人間関係&コミュニケーションなどのバランスの良さと、知的な優秀さを兼ね備えた人材を育てる環境はますます充実してきている。
皆さんの周りで、お子さん、お孫さんがおいでの方、青少年教育に携わる方々にも、この動きをぜひ頭に入れて、将来を担う子供たちを見守っていきたいと思います。
平成28年6月吉日
悟空の里主人 金森 悟
●2016年05月 出雲大社
●2016年04月 大震災に際して
●2016年03月 タクシー
●2016年02月 死ぬまでに観たい映画
●2016年01月 買い物
●2015年12月 おせち料理
●2015年11月 友、遠方より・・・