2016年05月 出雲大社

 このたび、ご縁があって、初めて、出雲大社を詣でた。
 日本人であれば、伊勢神宮と出雲大社は、ぜひ訪れたい神社であると昔から聞いており、やっと実現した。
 御祭神は大国主大神(だいこくさま)。天照大神に国を譲ったときに造営されたのが出雲大社といわれている
 事前準備もせずに訪れ、参道から拝殿、八足門へと進み参拝してきた。直前ではあったが、拝礼について、出雲大社では、「二拝四拍手一拝」。(神社庁のホームページでは、「二拝二拍手一拝」が基本と記している。)と他にはない参拝の仕方があった。後々調べると、出雲大社の参拝の仕方は、四つの鳥居のくぐることから、参道の歩き方。そして祓社をお参りし、身を清めてから、手水舎と進み、拝殿へ。そして御本殿の八足門から拝礼。こんな小さなことでも、なんとなく出雲大社の重さを感じるのは、私だけであろうか?
 出雲の国は神の国として、一般に旧暦の10月は、神無月と呼ばれるが、それは日本中の神様が出雲の国に集まってくるためで、出雲の国では神在月と呼ぶ。境内東西両側に「十九社」という、御祭神「八百万の神」という神様たちが宿泊されて、会議に出かけられたとされる建物がある。全国から来た神様たちは、ここに泊まりながら、「直会(なおらい)」をしたのであろう。平成25年(2013年)には、60年に一度の遷宮が行われた。
 改めて、出雲大社を調べていくうちに、日本の神話の紹介が出てくる。神社本庁(http://www.jinjahoncho.or.jp)でも紹介されているが、神々が日本国土を作られることに始まり、「天の岩戸」、「八俣大蛇」、「稲羽の白兎」など興味深い。改めて、自分が日本の神話、歴史にあまり関心を示さずに、この歳になってしまったと感じ、また振り返ってみたいと思った。

 一方の伊勢神宮。こちらには、初めて、平成25年(2013年)に、20年に一度の第62回式年遷宮に「特別神領民」として、「御白石持行事」に参加させていただいた。こちらは知り合いの宮司のお声掛けで、特別に参加させていただいた。白い法被のようなものを着て、鉢巻をし、一人ひとつの白い石をもって参道を進み、新しく建てられたお社の周りに、白い石を引き詰める行事である。普段では、足を踏み入れることができない場所まで、入り、石を置いてくる。張り詰めた空気の中、とても緊張したひと時であった。遷宮の様子は、その後テレビ等でも紹介され、厳粛な中、祭祀が執り行われている様子は、忘れられない。
 日本人として、神とのかかわりは、切っても切れないもので、単なるパワースポットとして訪れるのではなく、日本の歴史と、日本人としての誇りをもって、神社参拝をしてもらいたいと思った。
 出雲を訪れた際に、「万九千(まんくせん)神社」の宮司にお目にかかりお話をうかがう機会があった。本堂はなく御神石が、境内にあった。神社近くの斐伊川が氾濫するたびに、この神社は流され、再建立されてきたという。(昔から、神社は、天変地異があっても、過去の記録から、安全な場所に建立するのが常識と思っていた。)
 この錦田宮司のお話は楽しく、神在月では、全国から集まった神様は、会議の後は、「直会(なおらい)」をする。直会でいただきお酒は、飲むものではなく、「いただくもの」と説明していただいた。
 神社本庁が「神社祭式」で、どの祭式・祭祀でも必ず「直会」を行うとし、その具体的な作法も定めているという。季節の野菜・魚介類などが神饌として供えられた場合は、それらを料理したものが出される場合が多い。このため神社によっては直会での料理は郷土料理と同一の場合がある。出雲の地では、色々な会合が終わった後の懇親会は、今でも「直会」と呼ぶそうだ。
 ちょっと素敵な言葉に出合った気がした。神様が築かれた日本国、改めて、もっと大切な付き合い方をしたいと思うのは私だけであろうか? 東京では、明治神宮に、たまに出かける。参道の玉砂利を踏んで進むと気持ちが落ち着く。ぜひ、みなさんもお時間があるときは、ぜひお近くの神社へ!

平成28年5月吉日
悟空の里主人 金森 悟

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