2009年07月 土いじり

 みなさんは、最近土を手に取り、匂いをかいだり、こねたり、舐めて(?)みたりされたことがありますか? 改めて、毎日の家から会社への道のりを振り返ってみると、土を踏む機会は、ほとんど皆無に等しい。あっても砂利が敷かれた駐車場くらいであろうか?

 いつも参加する学会の中、「土壌は生きている」いうテーマで、陽 捷行(みなみ かつゆき)北里大学副学長のお話を聞いた。「土壌は生きている」、「土壌は病んでいる」と講演が進む中、土壌内のバクテリアが、ものすごい勢いで増殖してゆく様子を映像で見た。まさに生きている様子が、一目瞭然。さらには、植物の根が、成長してゆく様子も感動的なものであった。自然の力強い生命の活動が、自分たちの足元で毎日繰り返されていると思うと、ちょっと胸が熱くなった。

 さて、それでは、我々の生きている世界は、どのようになっているのだろうか? 我々が食している作物などは、種苗などを植えて、太陽の光、土壌の栄養分をたっぷり吸って成長し、我々の食卓を経由して体の中に取り込まれてゆく。この流れで、人間も成長するのであるが、その土壌が汚染されていれば、人間の体も汚染される。それが体内に蓄積され、病気を発症したり、子孫に継承されてゆく悪循環を起こしているのであろう。環境汚染が叫ばれる中、自分自身、土壌へ目を向ける機会が少なかったと振り返る。日常生活の中で、土と触れ合う機会がどれだけあるのか???

 去る6月に新潟県南魚沼郡六日町のお客様を訪れ、時間があったので八海山の中腹までゴンドラで上がった。数年前に山菜取りに訪れた懐かしい場所である。樹木が生茂る壮大な様子が360度見廻せた。また、先週は、学会で軽井沢へ。どちらでも、土を踏みしめながら、清流の近くまで足を運んだ。傾斜のある小路を上り下りし、崩れかけている地表、木の根が飛び出ている様子など、普段見慣れないが、しかし懐かしさを感じながら一歩一歩を楽しんだ。今思い返せば、中学校時代の剣道部の練習で、はだしで校庭を走ったことを思い出す。日頃、外では、靴を履いたままで、土の上に直接足を乗せることはない。土を踏むやわらかさ、固さ・・・。そんな感覚を今の子供たちはどれだけ体験しているのであろうか?

 最近、家庭菜園のようなものは、しばらくご無沙汰であるが、昨年は、庭にゴーヤを植え、見事にたくさんの収穫があった。種を植えただけで、何も手を加えていないのに、立派に成長し、我々の食卓に上がった。自然の恵みに甘んじて、大気、海、土壌など、人間の自由な社会・経済活動により犠牲にしてきた自然環境。この先を考えて、自分の身近なところを環境改善するために何ができるのであろうか?

 まずは、近くの公園、道端で、土を手にとってみませんか?土に触れて、感じること。そこからスタートしてみましょう。何を感じられたでしょうか??

平成217月吉日
悟空の里主人
金森 悟

●2009年6月 端を知る ●2009年5月 次への力
●2009年4月 引き合わせ ●2009年3月 奇跡の出会い
●2009年2月 正しいものの見方とは? ●2009年1月 気づいていない自分を探して!