2015年12月 おせち料理

 今年も残すところ約2週間。年末年始も開いているお店が多くなり、「年末の大掃除」、「お正月の支度」をしなければいけない。という感覚が薄らいできているように感じる。以前は、「初荷」、「初売り」というものがあり、正月三が日は、ほとんどのお店がお休み。初もうでに出かけて、開いているお店は、わずかで、日頃と同じものを注文しても、値段は3倍!なんてことが、普通だった。
 先日、ニュースで「三越伊勢丹ホールディングズ」は、東京都内8店舗(これ以外は1月2日から)を1月3日より「初売り」にする決定をした。と発表した。理由は、「従業員の負担軽減を狙うため」、「従業員がしっかり休んでこそ、良いサービスができる。」としている。他の百貨店は、年末年始の百貨店の営業日情報を検索すると、12月31日(大晦日)までは営業。1月2日から「初売り」というスケジュールがほとんどだが、三越伊勢丹のように、新たな回帰の動きが、でてくるのであろうか?
 お正月の支度といえば、「おせち料理」。百貨店の最も高いおせちの紹介があった。金城樓、吉兆、なだ万、京都料亭などの料亭と組んで、「高島屋」約50万円、「三越」約32万円、「大丸松坂屋」約25万円、「伊勢丹」約22万円、「阪急」16万円、「近鉄」約13万円小田急」&「西武・そごう」約11万円。その他、レストランなどでも取り扱いをよく見かける。さらには、気軽にネット注文し配達してもらえるAmazonでは、約2万円を上限として、1万円前後に人気があるようだ。核家族化され、大家族で集まって、お正月を祝うことも少なくなり、おせち料理は、形式的にいいものを購入し、自宅で作る機会はだんだん減少傾向にあるのだろう。
 改めて、「おせち料理」とは? 元々は、季節の変わり目とされる「節」に、神に供え物をし、宴を開くという宮中行事「節会(せちえ)」で用いられていた料理。「御節供(おせちく)料理」と呼ばれた料理が、庶民にも浸透し、お正月の「おせち料理」として定着したといわれている。地域によってもかなり差があると思われるが、
 代表的な献立は、
【祝肴三種】①黒豆(無病息災)、②数の子(子宝と子孫繁栄を祈る)、
      ③田作り(豊作祈願)
【口取り】①紅白蒲鉾(紅白は祝いの色:赤は魔除け、白は清浄・神聖)、
     ②伊達巻(文化発展、学問・習い事の成就)、
     ③栗きんとん(金運を呼ぶ)、④昆布巻き(不老長寿、子孫繁栄祈願)
【酢の物】①紅白なます(平安と平和を願う)、ちょろぎ(長寿を願う)
【焼き物】海老(長寿祈願)
【煮物】(煮しめ:家族が仲良く結ばれる)①里芋(子宝を祈願)、
     ②くわい(出世・お金の豊かさ祈願)、
     ③たたきごぼう(家がその土地にしっかり根を張って安泰に)、
     ④陣笠椎茸(元気・壮健祈願)、 
     ⑤盾豆腐(家族守護)
     ⑥手綱こんにゃく(己を厳しく戒め戦いに備える心を養う)
【その他】①菊花かぶ(長寿祈願)、②錦糸玉子(金銀意識に例えて)、
     ③小肌粟漬(将来の出世を願って)、
     ④お多福豆(服を招く)、⑤するめ(祝い事を表す縁起物)
 それぞれの素材を購入して、煮たり焼いたりすることは、現在の家庭では、現実的に、かなり難しく、ハードルが高そうだ。上記の通り、一品一品に意味があり、新しい年を迎えるにあたり、家族そろって幸せな一年を送れるように願い、ひと時を共にする。家族で作りながら、会話を交わし、そのつくり方が伝授されてきたのだと思う。我が家では、両親と同居し6人家族の頃は、当初は、母と家内でほとんどを自宅で作っていたが、次第にお店でおせち料理を購入し、数品は自宅で家内と娘が作るようになった。嫁いでしまった娘の担当は「栗きんとん」であった。これは伝授できたのではないだろうか?
 日本の伝統。これは、宮中での行事が庶民へ広がったもの多そうだ。これは、日本の歴史であり、文化であり、これからの若者にもぜひ引き継いでいってもらいたいと願う。
 今年も一年間、「悟空の里」にお立ち寄りいただきありがとうございました。
 皆様におかれましては、健康にお気をつけられ、よい年をお迎えください。

平成27年12月吉日
悟空の里主人 金森 悟

●2015年11月 友、遠方より・・・
●2015年10月 2015年10月 二十四節気と七十二候
●2015年09月 たい焼き
●2015年08月 57年目の年輪を刻んだ
●2015年07月 お墓参り
●2015年06月 邦人援護