2015年06月 邦人援護

 去る3月に大学の大先輩が、スペイン旅行中に逝去された。始め、私宛に後輩から電話があり「知人のFacebookに先輩が旅行中にお亡くなりになった。」と見て、真意の確認であった。私には寝耳に水で、内容が内容だけに、広く関係者へ問い合わせることもできない。その先輩がいらした会社の社長宛て、近況を伺うべく電話をした。「奥様とご旅行中で、現地での行動の様子をネットで報告されてきている。」と。・・・なんだ、何かの間違えか??と感じた。その後、その社長から、「実は、ここ数日、現地からの報告がアップされていない。」ことを気にかけていた…。とのお話が。ご自宅にお電話しても、まったく応答はなし。個人情報もあるが、友人経由で現地の大使館で、そのような事実の有無の確認を取ってもらったが、その報告はない。結局、帰国予定の日には戻られず、後日、現地で火葬されて帰国された。ご葬儀で奥様に当時&現地での様子は、詳しくお伺いはできなかったが、現地の旅行会社などと協力され、火葬されて、帰国の途に就かれたこととなる。さぞかし心細く、大変な思いをされたことに違いない。
 さらに今月9日、ブラジル・サンパウロへグループ旅行されたてきた友人から、共通に知る女性が、現地で具合が悪くなり、救急搬送され、緊急手術が必要になった話を聞いた。ツアー組は、すでに日本に帰国し、現地語しか通じない病院におひとりで残されているとのこと。なにかお手伝いができないかと、昔サンパウロに住んでいた友人に電話して、「現地のお友達を紹介いただけないか?」と依頼。すぐに日系人の知人が見つかり、病院に駆けつけて面会後、私宛電話をくれた。ちょうど一時間後、手術を受けるタイミングであった。並行して、現地では、保険のエージェント(日本人)が親切な対応をしてくれているという情報が入った。また、友人経由でお願いしたルートから現地の総領事館に仲間がいることがわかり、フォローをお願いできることとなった。その女性は、二回の手術を無事に終了し、安定した状態だという。日本側のご家族との連絡も取れ、帰国予定は未定だが、無事の帰国を待つことになった。
 昨今、テレビで報道されるような事故&事件が起きた場合は、日本政府の対応などの様子を知ることができる。ただ、我々日本人が、国外でアクシデントにあった場合、どのように助けを求めたらいいのだろうか? 「海外邦人援護統計」(http://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/support.html)というものを外務省の海外安全ホームページに見つけた。2013年(平成25年)では、17,796件、19,746人の方が、事故・災害、犯罪被害等に遭っている。地域別では、件数&人数ともに、アジア、北米、欧州の順で多く、この三地域で90%を占める。在外公館別では、タイ、上海、フィリピン、ロサンゼルス、フランス、ニューヨークの順に件数が多い。病気事由では、アジアが一番多く、特に男性で、60歳以上がダントツ。行方不明が全体で110名。安否照会はアジア地域の男性が多く、中でも20歳代が20%にもなる。などのデーターがあった。
 私自身の前職で約10年間、毎月海外出張をしてきた。多い時で年三分の一を海外で過ごした。幸い大きな事故にあうことはなかった。遭遇した出来事では、ニューヨークのJFK空港免税店内で窃盗犯人が私のすぐ横に逃げてきて、「ホールドアップ!」状態になったこと。荒天により、全く知らないイタリアの空港に着陸し、イタリア語もわからず、人の流れを見ながらバスに乗り移り、無事にミラノに到着。モロッコで、観光ガイドに騙されて、スペインに戻る船に乗り遅れそうになったこと。チューリッヒの空港で、離陸前、窓から自分の荷物が、積まれていないのを偶然に見つけ、タラップを降りて走って取りにいったこと。1990年の湾岸戦争の頃、ドイツ・フランクフルトの事務所近くで、小さな市内テロが起きたこと。特段、人の手を借りて助けを求めることは、幸いなかったが、今になって、パスポートに緊急連絡先を記載するページを思い出し、ことが起きた際に、心配する家族への連絡手段としては重要な情報であることを改めて思った。
 海外旅行は、国内旅行と変わらない気分で出かけることができる時代になった。しかし、何かアクシデントに巻き込まれた場合は、言葉の問題、医療機関、習慣の違いなどで、日本と同じ対応を受けられるか疑問であり、日本の健康保険のような経済的サポートは期待できないことを肝に銘じることをお勧めする。

平成27年6月吉日
悟空の里主人 金森 悟

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