2013年07月 旅に出る
大宮から東京駅まで新幹線に乗車し25分で移動した。
在来線との差は、時間にして10-20分、料金にして1,040円。数字で比較すると、もったいない・・・。
しかし何故だか少し気分が高揚し、得をした気がする。出張などで頻繁に新幹線を利用されている方には、違和感があるかもしれないが、日頃、遠出をする機会がほとんどない私にとって、一瞬ではあるが、「どこか素敵な場所へ出かける」と勝手な思い込みで、わくわく感を体験できる。
1979年に、松本零士氏の「銀河鉄道999」(1977-1981)のイベントで、当時「国鉄」が、「行き先不明のミステリートレイン」を走らせ、大人気となったという。当時、参加する勇気もなく、最後の行き先がどこであったかなど、気にかけていたことも思い出した。その後も各地で色々なイベントが催されているようである。自分自身、「目的地を決めずに、西へ向かってみる。」なんてことをやってみたいと思うが、実行に移せない。しかし、一度だけ、会社の2泊研修@神戸で、研修前日の夜までに現地へ入るというスケジュールが組まれた。夕方の新幹線で東京を出れば十分間に合う。当時、東京を離れる機会も少なくなっており、久々の小旅行気分になった。実際は、神戸行きではあるが、「西へ向かう」という高揚感が出てきた。そこでフッとも思いついたのが、長年北京へ戻っていた中国人の友人からの「福岡の領事館に転勤となった。時間があれば会いましょう。」という手紙である。朝一番の飛行機で福岡に飛び、領事館を訪れ、10数年ぶりの再会をしてランチを共にした。さらに福岡在住の前職の友人夫妻とも思わぬ再会もできた。
冷静に考えると、なんと無駄な行程であろうと思う。またその発想が何故生まれるのであろうか?と不思議であろう。しかし、この経験は、お金に代えられない貴重な思い出作りとなったことは事実である。
さて、自分の思い出深い旅の歴史を振り返ってみた。どんなことを経験してきたのであろうか?
「はじめてのおつかい」という大好きな番組がある。一人で行動したことのない小さい子供にとっては、親から離れ、未知の大海原に出されるような恐怖感があり、それを乗り越えるという設定である。自分のこれに近い思い出は、小学校6年生の時の東京から広島への初めての一人旅。当時広島には親戚がいて、新幹線は大阪まで。山陽本線に乗り換えて広島まで。駅に着けば、迎えに出てくれた。帰りは、広島から東京行きの寝台列車だったような・・・? 帰る当日は、台風の影響で、途中駅が浸水し一時立ち往生状態に。約6時間以上遅れて東京着。詳しい記憶はないが、当時は、大きな困難を乗り越えた達成感と充実感と、自信を持てたような気がしている。(実際は、なにも出来ずに電車の中に座っていただけなのだが・・・)
また、知人の仕事の手伝いで、ホノルルへ2泊4日。初日はホノルルで夕食をとり、翌日、目いっぱい動き回るという計画であった。私は、せっかくハワイまで行くのだからと、新婚旅行で訪れたハワイ島・コナに住む日系二世の老夫婦に会いたくなり、10数年ぶりに一人、東京からコナへ。老夫婦のご自宅で、旧交を温め、少しのお昼寝と、彼の営むコーヒー&マカデミアナッツの農園をさっと見学し、ホノルルへ夕食に間に合うように移動。あわただしかったが、それが最後の再会となっている。それから10余年。しばらく音信不通であるが、ご健在であれば、90歳はとうに超えておいでだ。
もうひとつ。前職で私が担当した時計のお客様で、マラガ(スペイン)を訪れたときである。大量の時計をモロッコへ輸出しているという。当時は時計の輸出はできないはず?しかし出稼ぎで行き来する人たちが、車に積んで大量に運び込んでいるとの話に。「モロッコのマーケットを見たい」とリクエスト。ドライバーをつけてくれて、まずは夜のうちにアルヘシラス(スペイン)へ移動。そこからは、ひとり船に乗ってジブラルタル海峡を渡り、タンジール(モロッコ)へ。約半日の滞在の後、アルヘシラスへ戻った。ごく一部ではあったが、観光客向けにたくさんの時計が売られているマーケットを見学でき有意義であった。(この滞在は、時差の読み間違え、偽物の政府公認ガイドに騙され、スペインに帰れなくなりそうな出来事が・・・。これはまた別の機会にでも。)
思い出も尽きないが、旅に出ることのわくわく感、これは日頃の自分の感性を活性化させてくれる気がする。常には難しいかもしれないが、映画を見る以上に、実際に新幹線に乗り込む(飛行機ももちろん同じであろう)だけで、体験できる。たまに実践するのは、大宮-東京間、新横浜-東京間。みなさんも一度いかがでしょうか?
平成25年7月吉日
悟空の里主人 金森 悟
●2013年06月 庭いじりに挑戦!
●2013年05月 ルーツをたどる
●2013年04月 エンディングノート
●2013年03月 訪問地でのひととき
●2013年02月 風化と復活の力
●2013年01月 流れ