2011年10月 人生の財産

 先日、年一度の大学OB会主催の同窓会が、キャンパスで開かれた。毎年、来場者数千人規模とも言われ、全国から卒業生が集う大会である。卒業生のみならず、ご家族も参加する。中には三代同窓生というご家族も。同窓会の運営は、卒業から10年、20年、30年、40年の有志OB約600名が、お手伝いする。私は、卒業30年の学年で、「祝宴部会」という、「卒業50年御招待」のOB&OGの皆様約700名をお迎えし、祝宴部門をする担当させていただいた。10年に一度、回ってくる当番であるが、この機会は、日頃疎遠になっていた同期始め先輩の方々とのうれしい再会の場でもある。
 卒業50年といえば、年齢は72歳。イメージとしては、かなりのお年寄りで、車椅子、杖を利用の方など、階段ご利用の対応も大変かと想定していた。実際は想定外で、車椅子の方はお一人、杖の方はほとんど見かけなかった。(もちろんほとんど、お元気な方が、キャンパスまで足を伸ばされるのであろうが・・・)しかし、60歳台といってもおかしくないパワーで、お互いを学生時代の名前で呼び合い、はつらつとされた方ばかり。何十年ぶりの再会でも一瞬のうちに50年前に戻り、お酒、お食事もハイペースでなくなり、大はしゃぎの様子であった。我々は、お手伝いをしながら、「我々メンバーの中で、20年後にこの場に来れるのは、誰と誰だろうね~??」、「生きているかどうかもわからないし・・・!」という会話が飛び交っていた。笑うに笑えない内容に、複雑な思いがあった。

 OB会のみならず、学校としても、入学式、卒業式に、卒業25年、50年の卒業生をご招待するなど、卒業生と学校をしっかりと結び付けてきている。なんとすばらしいことか! 卒業した学校(OB会)から、招待状が届くのは、やはりうれしい。この卒業生を大切にする気持ちが、学校の周年行事に始まり、様々な学校への寄付&支援を磐石なものにしている背景でもあろう。
 人生の中、たった4年間の時期(私は5年間でしたが・・・)を過ごしたキャンパスに招かれるということが、ここまで我々をハッピーにさせてくれるのか!?と、不思議でもあった。しかし、それは、長い人生ので、大学生生活がいかに重みがある時期かを痛感した瞬間でもあった。個々には、仲の良かった仲間、クラブ、ゼミ、サークルなどの単位で、数年に一度、毎年集まっているグループも多々あるであろう。しかし、これほどまでに一時期に、キャンパスですれ違い、挨拶を交わせる機会はほかにない。改めて、学生時代の仲間は、人生の財産であり、それは、再会によりいつでも活性化し、そこから新たな輪が広がり新たな人生の財産の積み増しにもなっている気がする。
 30歳、40歳代は、仕事が、家庭が忙しく、なかなか昔の仲間と集うことは難しい現実があるであろう。しかし、学生時代の仲間は、いつどんなときに会っても、歓迎してくれることに間違いがない。何十年も疎遠であったことなど気にせず、何の心配もなく、仲間の集まりに飛び込んでゆけばよい!
自分が気づかないうちに、心の中の「学生時代」という財産は、永遠に消えることはなく、年を重ねるごとに膨らみ、活性化してきているに違いない!
 この財産は、学生時代に築かれることは、間違えはない。それには、いかに学生時代を過ごすか? 自分自身は、すでに戻ることはできないが、自分の子供たち、孫たち、若者との付き合いの中で、語り継いでゆきたいものである。

平成23年10月吉日
悟空の里主人 金森 悟

●2011年09月 手を差し伸べること
●2011年08月 成長と脱皮
●2011年07月 節電努力
●2011年06月 出会うということ
●2011年05月 次の25年とは…?
●2011年04月 授かりものの旅立ち