2011年04月 授かりものの旅立ち

 今月23日に、わが娘が結婚する。息子は、今月から社会人になり、新人研修を受けている。ふたりとも、新しい道を一歩踏み出したところである。
「子供は天からの授かり物」といわれる。コウノトリが運んでくるという話があり、神様は、「あの夫婦のところで、育ててもらいなさい。」と行き先を決めているなんて話は、真意はともかく、夢のある楽しい話である。神様からお預かりした、地球の、日本の次世代を支えてゆく子供たちの20年間を振り返り、授かり物を旅立たせるまでを回顧したい。

 29年前に伴侶と出会い、27年前に結婚。24年前に娘を授かり、2年後に息子を授かる。一人目は、不慣れなことも多く、哺乳瓶の殺菌に始まり、とても慎重であった。成長の記録写真は、かなり多く残した。二人目は、慣れと安心感で、かなりの差があった。それぞれ、オムツはいつ頃に取れたか記憶にないが、夜、おねしょをして布団が濡れると、子供を起こして、「たいへん!たいへん!流されちゃう!」と抱きかかえて救出。「もう大丈夫!」と、布団を干し、絶対にしかることはしなかった。娘は、弟ができて、たった2年で天下を取られる。子供なりに我慢をしたのであろうが、夜泣きを繰り返すようになった。抱きかかえて、車に乗せて近所をドライブに出かける。程よい振動に眠りについたころに帰宅して、車からそ~と降ろしたとたんに、泣き始めて、その繰り返しを…。

 幼稚園に通う頃は、相手を気遣えるような子供に育ってもらいたいと願った。子供らしく、他人の持ち物がほしくなる。そのときは、物を取り合うのではなく、必ず代替品を用意させ、「それちょうだい!」ではなく、「交換!交換!」と覚えさせた。(この頃から昔ながらの物々交換の習慣を教え込んだ!)子供らしい行動を伸ばしながら、相手を気遣うことを身につけさせたいという難しいテーマであった。うまく伝わったのであろうか? 相手のことを考えるばかりに、自分(個性)を出せずに終わってしまうことはいけないとも思った。

 小学校では、二人とも成績は、下から数えて何番目という状況であったらしい。子供には、「世の中、上の人がいるのは、下の人が支えているから。君たちは、偉いんだ!」と、「テストは、今まで学校で勉強してきたことで、わからないところを見つけるためのもので、事前にテスト勉強はしなくていい!」と。また、テストの朝のコメントは、「必ず自分の名前を間違えないように!あとは、よろしい!」。テストの前の週でも、親の都合で、遊びに連れまわしていた。(反面、wifeは、かなり真剣に子供以上に勉強し、教えようと努力はしていたようだが…。)

 中学&高校へ通うようになり、夜更かしをしたのか、ほぼ毎朝、二人ともなかなか起きれずに、遅刻しそうになる。wifeは、朝から叫んでいる。私は、ベットの脇に行き、「学校行かなくていいから、今日は、パパと遊びに行こう!!」、「どこへ行って、何して遊ぼう??」と誘う。子供たちは、「友達に会いたいから、行かない。」とせっかくの誘いを蹴って、急いで支度をして学校へ出かける。

 大学生になってからは、娘のことはあまり記憶がないが、息子は、飲んで帰れなかったり、家との連絡を取らなかったり、親としては、面白くないことが続いた。「学校はいつやめてもらってもいい! 学費は、年間100万円かかっている。やめてもらえば、そのお金で、どれだけおいしいものを食べにいけるか!!親として、こんなにうれしいことはない!」・・・友達と別れたくない息子は、「うちの親はおかしい!!」といいながら、軌道修正する。

 振り返れば、進学など、それぞれの分岐点では、先生の推薦をいただいたり、友達の誘いがあったりして、自分で判断して決めていた。私自身、高校受験&進学のときは、親の意見は聞かず、中学の先輩の影響で、学校選択をしたことで現在の自分がある。そのことがきっかけで、自論であるが、子供の人生、親の言うことを聞くのはせいぜい中学の低学年まで。それ以降は、社会的におかしなことをした場合には、親として口出ししなければいけないが、それ以外のことは、自分で決めるように。と腹をくくった。あえて付け加えれば、自分の知る人&場所など、できる限りいろいろな場面に連れてゆき、世の中には、自分の知らないことがたくさんあることを知らせてきた。しかし、それらの中から、選択するのは自分たちの力であり、親の力は及ばない。

 授かった子供たちを育てて20年超、振り返ればあっという間であった。これでよかったのであろうかと思うところもあるが、まあ今更どうしようもない。子供たちが、次の世代を授かったとき、同じことが繰り返されていくのであろう。山あり谷ありのことがいろいろあった。しかし、ここまで無事に生きてこられたのには、運に支えられてきたに違いないと思う。ある方の言葉で、「運に愛される人」というフレーズがあった。旅立つ子供たちも、子供が旅立った後の我々の生活も、新たなスタートである。これからも「運に愛される人」として、元気に生きていってもらいたい。

 このメッセージを読んでいただいている方々は、個人的、家族ぐるみでお世話になった方ばかりです。今までのお付き合いに感謝申し上げるとともに、これからも引き続き、家族ぐるみでのご指導をお願い申し上げます。

平成23年4月吉日
悟空の里主人 金森 悟

●2011年03月 We are with you
●2011年02月 日本人とつぶやき
●2011年01月 新しいものへの興味は持ち続けるべき!
●2010年12月 世間知らず?
●2010年11月 往路と復路
●2010年10月 握手