2009年12月 語り継ぐこと
今年も残すところ2週間。すっかり風が冷たくなってきました。みなさんにとって今年はどんな年だったのでしょうか?
仕事柄、年末のご挨拶で、会社の経営者とお話しする機会が多い。サラリーマンなりたてのころは、「社長」というのは、「社会人人生で、昇り詰めたひとつの勲章のようなもので、偉いもの!」と勝手な解釈をしたこともあった。しかし、地元のロータリークラブ・大学のOB会などに在籍し、経営者とお付き合いさせていただき、経営者のおかれている立場、思いなど、生の話を伺うことで、その思いも間違っていたことに気づいた。私の職歴から、大きくセイコーグループ(服部家)、ソニーグループ(盛田家)の中で働いてきた。その会長&社長からのメッセージの根底には、会社&業界などの10年20年、さらにはもっと先の将来への大きな夢を語られることが多く、我々の心にもズッシリときた。またその思いについてゆこう!力を発揮しよう!という気持ちにさせてくれる。
企業は、創業間もないものから100年以上の歴史を持つ企業まで様々である。その事業を代々受け継いでゆくための苦労は計り知れない。しかし、現実的に人間の限界を前にして、次の世代へ事業を継承していかなければならない。親族に始まり、サラリーマンとして入社してきた優秀な人材にバトンタッチをする。創業理念、会社の経営方針など、時代の変化に合わせた的確な対応と行動が要求される。以前「会社の寿命は50年」とかかれた雑誌を目にしたことがある。しかし創業100年、150年といった老舗も少なくない。単に歴史だけを刻んだわけではなく、同じことを続け、さらには変化に対応し、新しい事業の展開などの努力は並大抵のことではなかったと、強く感じる。
この年末のご挨拶の中で、経営者のご子息のご結婚の喜ばしいお話を伺った。ある社長は、その業界を取りまとめる職に就かれ、現場はすでにご子息に任せている。すでに先代から事業を引き継いだ若手経営者、生え抜きの有能な方もがんばっておられる。一方で、今年で事業を終結させたかたもいらっしゃる。ひとつの組織体を長く、順調に継続し、次世代へ繋いでゆく、語り継いでいくことの難しさ、奥深さ、重さは、計り知れないのであろう。
小さな単位では、家庭も同じではないだろうか?由緒ある家柄でなければ、家訓もなく、あまり気にかけたことは無いかもしれない。しかし、自分の子供・子孫が、行き続けてゆくために、自分でも残せること、語り継げることがあるにちがいない。子供も大人になれば、一人の人間として、自分で考え行動する。親が口を挟むことも少なくなるのであろう。また時代も違い、昔のことがいまさら参考になることも少ないかもしれない。しかし時代は繰り返すと昔から言われ、人間として生きる真髄は、何も変わっていないと思う。親子、上司と部下、会社&学校の先輩後輩の間柄でもかまわない。今までの人生観、体験を語ってみてはいかがであろうか?どの話題を取捨選択するかは、受け取る側のセンスであり、その人の力であると思う。ちょうど自分の息子が、就職活動を始め、仕事をするということに興味を示している。過去語った話でも、聞く年齢でも感じることは違ってくるようだ。忘年会、新年会など、人と集う機会に、大いに語り合ってみてはいかがであろうか?
今年も一年、おつきあいいただきありがとうございました。ぜひお体を大切に、良い年をお迎えください。来年が、よりよき年でありますことを祈念しております!
平成21年12月吉日
悟空の里主人 金森 悟
●2009年11月 ひと昔、ふた昔・・・ ●2009年10月 近い未来へ
●2009年9月 自分のポジション ●2009年8月 重粒子線治療
●2009年7月 土いじり ●2009年6月 端を知る