2019年09月 月の光

 子供の頃、ボーイスカウト活動で、何度もキャンプを経験した。
キャンプ場ではなく、街灯もない山の中に入りテントを張る。夜は、明かりといえば懐中電灯のみである。周りは暗くて何も見えない?・・・実は、そうでもない。「月の光」が、かなり明るいことに気付く。
月の光は、0.2ルクスといわれる。日常の光はどれほどなのだろうか?

  1. 晴天昼間の太陽光は、10万ルクス。
  2. 晴天午後3時頃の太陽光は、3.5万ルクス。
  3. パチンコ店内は、1000ルクス。
  4. 百貨店の売り場は、500~700ルクス。
  5. 日の出入り時は、300ルクス。
  6. 街灯の下は。50から100ルクス。
  7. ろうそくは、10から15ルクス。

 月の光のルクスは少ないが、空から広範囲に照らされるからか、夜道を歩くにも非常に役に立つ。

 先週の台風により、千葉県で広範囲にわたり停電し、一部では、1週間経過しても不便な状況が続いている。猛暑の時期に重なれば、エアコンも使えず、多くの人が熱中症になったに違いない。その他も、電気製品の中で日常生活を送る現代においては、マンションの水も高層階に上げられない、エレベーターも動かない、太陽光発電もジェネレーターが動かず電気を使えない。家の電話もデジタル電話となり不通。携帯電話の充電ができない。テレビ、電子レンジなどは当然に使えない。さてどのように生活すればいいのだろうか???と困惑してしまう。そんな中、キャンプ、バーベキューなどアウトドアでのレジャーを体験されたご家庭では、意外に災害時に活用できるグッズをそろえて落ち着いた対応ができる方がいるに違いない。

 私は、3.11(東日本大震災)の際、自宅では計画停電があり、家族と過ごす部屋では、懐中電灯他、ロウソクを使った。「何曜日の何時から何時まで」という計画的なものであるから、電気が使える時間帯に、必要なことをこなせば生活は、何とかなるのであまり困ったという感じもなかった。計画停電中は、ドイツ赴任中に数点買い求めた「燭台」を持って部屋間移動に便利に使った。ロウソクもドイツのクリスマス用の大きめのしっかりしたものがいくつもあり、ロウソクの柔らかな明かりに、心落ち着くひと時を過ごすこともできた。日頃、ロウソクを使う機会は、お祝いのケーキに立てる。他は、仏壇がある家くらいであろうか? ロウソクにもいろいろな種類があるが、ヨーロッパでは、ススの出ないロウソクが多く、買い求めてきた。今では、身近に手に入れることができる。部屋でロウソクの明かりを楽しんでみるのもお勧めである。

 この時期は、仲秋の名月、十五夜を楽しむ季節でもある。周囲のライトの光が強く、あまり月の光を感じることが難しいかもしれない、しかし一度、真っ暗にして、月の光を感じ、楽しむ。そんなひと時を過ごしてみるのはかえって贅沢なのかもしれない。また、夜、海に物を投げると、何かきらきら光る光景を見た経験をお持ちの方がいるだろうか?これは「夜光虫」という海洋性プランクトン。これは、刺激に応答して光る性質があり、波打ち際とか、夜、ボートを漕いだりすると光り輝いて、とても感動的な光景である。大量発生すると海岸一帯を照らすくらいの美しさを体験できる。月の光に夜光虫の光、とってもロマンチックな風情を楽しむことができる。自然光、日中は、太陽の光を浴び、夏は暑さを、冬は暖かさを感じる。月の光は、暖かさを感じることはないが、心に「温かさ」を感じる。そんな素敵な光ではないだろうか?

 月の光、やさしく、柔らかく、少し冷たくも感じるかもしれない。月を見上げることは意外に機会は少ないのではないだろうか? 俳句には詳しくないが、「月」は秋の季語とのこと。皆さんも、この時期に、ぜひ月の光を楽しんでみませんか?

令和元年9月吉日
悟空の里主人 金森 悟

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