2018年06月 よく噛むこと!

「よく噛むこと!」
 いつも「早食い」といわれる。だから太る。もっとよく噛んで食べるといいよ!!!
よく噛んで、ゆっくり食べることで、結果、食べる量も抑えられる。(早食いだと、満腹を感じる前にどんどん食べてしまうということらしい。)

 かなり前から、食卓には、柔らかな食材が増えた。しかしながら固い食材が何であったか、思い出せない自分がいる。固い肉は、安い肉?とは一概に言えないが、部位による筋のあるなしは、区別はされる。
肉はよく噛んで食いちぎる、調理された魚に固いものは無い? 野菜は、火を通していれば、固いものはない。お茶漬け、麺類は、ある程度は噛むが、のど越しがよく、流し込んでいる。サンドイッチ、ハンバーガーも柔らかいものが多い。食感を楽しむ食事は減少してきたのであろうか?食文化の研究者が、弥生時代からの食事を再現し、咀嚼回数を計測したという。弥生時代の食事は、約4,000回噛んでも食べきれず、鎌倉時代は、2,600回、江戸時代初期は、1,500回、江戸時代中期は、1,000回、昭和10年頃は、600回・・・と。食材、食事の違いは時代的にあるが、食生活が豊かになり、噛む回数が減少していることは確かである。

 日本咀嚼学会の記事を見つけた。英国の研究で、咀嚼をしながら舌が食物と唾液を混ぜ合わせ、食物を丸めて、飲み込みやすい食塊を作っていると。これにより、食物が気道に入ることなく飲み込めることに。ここに一回に30回ほど噛むといいといわれる根拠があるようだ。これ以外にも、咀嚼は、食材を砕き、飲み込みやすくする行為と基本的に考えるが、口腔内の刺激により、各臓器の消化液の分泌促進、口腔内浄化などがあり、脳内血流増加に始まり、大脳&内臓の働きも活性化させるといわれるという。

 色々な方と話をする中、「噛むことによる痴呆状態の改善」を研究している方に出合う。私の母が介護施設でお世話になったときを思い出すと、誤嚥を防止するために、すりつぶした形のない流動食が主流であった。人手が足りない介護現場では、ヘルパーがつきっきりで、誤嚥させないように、形のある食材を咀嚼させながら与えることは不可能である。結果、噛まない食事を継続することにより、唾液の出も悪くなってくるであろう。口腔内洗浄機能の低下などにより、痴呆の状態も改善することなく悪化の道をたどるのではないであろうか? 施設入所中の母は、入れ歯は外したままで、咀嚼するという行為からは切り離されていた。毎日の歯磨きは、基本的にヘルパーがしてくれる。我々家族が出かけてやることもあった。また月に一度は、歯科医が訪問診療をしてくれている。といわれていた。どの程度の口腔内ケアがされていたのであろうか?
一方で、歯が無くなった高齢者に、歯茎で噛むような行為を繰り返させたことにより、痴呆の症状が改善したという事例も出てきたそうだ。

 噛むことによる唾液の大切さを知ることとなった。より多くの唾液を出す方法を教えるサイトがあった。①舌の体操をする。②水を飲む(コーヒー、お茶、ジュースはダメ)。③だし昆布を口に含む、④ガム(キシリトール入り)を噛む。⑤発声練習。⑥よく噛む。⑦趣味・運動など好きなことをやる。細かには、「ネバネバ」した唾液ではなく、「サラサラ」した唾液でなければいけないと。前者は、緊張しているときなど自律神経の交感神経が優位な際に出て、後者は、リラックスした際の副交感神経が優位な時に出ると。

 日頃の食生活を考えるについては、炭水化物、脂質、ビタミンなどに気を使い、健康食材を気にする話題を非常に多く見かける。食事では、摂れないビタミンなどはサプリメントで摂取することが一般的になってしまった。飲み込むだけのサプリメントは、噛む行為は伴わない。

 今までの話から、昨今の事情を振り返ると、方向修正が必要に感じるのは、私だけであろうか? たまに、会社でのランチの際に、同年代の同僚と「たまには、噛みきれないような固い肉でも食べに行くか!」と近くでステーキを食べに行くようにしている。みなさんも食事のメニューだけではなく、噛むという行為と健康を考えてみてはいかがであろうか?

平成30年6月吉日
悟空の里主人 金森 悟

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