2010年11月 往路と復路

 10月にテニスの「楽天オープン(ジャパン・オープン)」、11月に「全日本選手権(天皇杯等)」が東京・有明で開催され、例年通り大会観客サービスのお手伝いをさせていただいた。その期間中、私が担当した部署で現役の大学テニス部の学生と延べ150人くらいに出会ったこととなる。思い返せば、34年前に、自分も大学庭球部当時、駆り出されて、大会のお手伝いをしたことを鮮明に覚えている。テニスが取り持つ縁で、国内に限らず、アメリカ、ドイツ、香港などでも、多くの貴重な経験を積み上げてきた自分の人生がある。新たに出会った学生たちも、これから将来、私と似た境遇を経験し、成長できる可能性があることを、参考までに語りたくなった。同時に、自分自身、改めてこの34年間、どうやって生きてきたのであろうか?と、改めてであるが、漠然と考える機会にもなった。

 去る11月13日(土)、NHK・BSで「加山雄三 50年の光と影 ~栄光と苦悩を乗り越えて今~」のスペシャル番組をやっていた。私の学生時代、映画「若大将」シリーズを見て、スポーツ、音楽などに秀でたスーパーマンのようなすごい人だと憧れた。「あのような男性が、世の中では、女の子にもてるんだ!」と、「君も若大将になれる!」なんて本を買い込んで、真剣に読んだ記憶も懐かしい。番組では、順風満帆であった彼にも、ホテル事業の倒産など、かなり波乱に満ちた人生を経て、家族や仲間に支えられながら、72歳の現在でも、多くの友人たちに囲まれて有意義な人生を送っている様子を紹介していた。(数年前、大学の同窓会で、一瞬であったが、加山さんとお話をする機会があり、握手してもらい、まるで子供のように感動した!) 芸能生活50年を振り返り、大きなマイルストーンとなったのであろう。

 さて、自分は、振り返って人生が語れるのであろうか? また、振り返るのはいつの時点がいいのか?
仮に、これから先、上記の学生時代からと同じ34年を生きると86歳。今まで自分が歩んできた34年は、どんな生き方をしてきたのであろうか?と改めて、自分に問うてみたくなった。同時に、これから先の34年+アルファは、どう生きたいのか? 毎日が、流れるように過ぎてゆく。立ち止って、過去のことを思い返したり、ゆっくり考える余裕がなかったのも事実であろう。今回のテニス大会での学生との触れ合いと、加山雄三氏の50年の軌跡を見ながら、「学生時代に戻ろうとは思わないが、若大将に憧れ、色々なことに熱い思いを持って一生懸命過ごしてきた日々が懐かしく、今の自分にもまだその炎が残っているのではないか?」と、感じた瞬間でもあった。この34年間、とにかく前を向いて進んできた。転ぶ時にも前に転ぼうと! 若者たちは、これから色々な苦労をしてゆくのであろう。自分の子供にさえも、自分が歩んだ人生について話をしたことがない。来年には、娘が嫁ぎ、息子が社会人となる。「子どもは、親の背中を見て成長するから言葉はいらない。」という事例も聞いたことがある。そのほうがいいのであろうか?

 11月14日(日)にテレビで映画『最高の人生の見つけ方』:「余命6ヶ月を宣告された二人の男(ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン)が、死ぬ前にやり残したことを実現するために、二人で冒険に出るストーリー」を見た。「残りの(これからの)人生を生き生きと生きる。」しかし、そこでは、家族&仲間が大切であることを語っている。これから人生をより楽しむことはもちろん、まだまだ経験したことがないことが山のようにあり、のんびりしている余裕はない!!・・・という、不安と期待のメッセージと感じるのは、私だけであろうか?

 2010年も残すところ、1ヶ月半。年新たに計画を立てる前に、自分が過ごしてきた年月とこれから過ごしてゆく年月を比べて何を感じるであろうか? 過去の経験は、もしこれから同じことを繰り返すとしたら、半分の年月で実現してしまう力を備えた自分に出会えるかも知れない。なんだかわくわくしませんか? 学生時代には戻れませんが、これからもすごいことができそうな気がしませんか?
さて、まず私は、大学卒業の頃の写真でも引っ張り出してみよ!!!!

平成22年11月吉日
悟空の里主人 金森 悟

●2010年10月 握手
●2010年09月 はだし教育
●2010年08月 昔話とその使命
●2010年07月 鳥瞰(ちょうかん)
●2010年06月 初めてのこと
●2010年05月 旅に出ること