2020年06月 観光産業with COVID-19
緊急事態宣言が解除され、約3週間。皆様はいかがお過ごしであろうか?
宣言が解除後もテレワークを継続する会社もあり、朝の通勤電車もまだ60~70%程度の路線もあるようだ。学校の授業も、まだフルに再開とはならず、午前午後と分けた授業、一日おきの授業が始まった。私立の学校では、オンラインで、在宅ベースで授業が進んでいるとも聞く。今年の夏休みは、8月の3週間程度に短縮される学校もあるらしい。この先はどのような展開、変化、回復、成長が待ち受けるのか?
当初、今夏には、「東京オリンピック」開催が予定されていたが、来年同時期に延期された。オリンピック前から、インバウンドといわれる海外からの観光客が来日(2019年度3,188万人)。その経済効果(消費額)は、4.8兆円。2010年の約860万人に比べるとものすごい伸びである。ところが、COVID-19により入国制限がかけられ、2020年2月から激減。4月前年同月比は、99.9%減少。1-4月前年同期比は、64.1%減に。順調に増加してきたインバウンドは、ほぼゼロになった。関連する観光地始めビジネスの利用者を合わせて、全国の宿泊産業、飲食産業始め、大打撃を受けている。
緊急事態宣言が解除された後のこれからを「with COVID-19」、「after COVID-19」と呼び、どのようにして経済回復&生活パターンの改善を目指してゆくのか?自粛の余波が継続する懸念が強く、事業形態の改革を求められている。これを機会に、観光産業について調べて驚いたことがある。
「観光庁白書」(2019年)によれば、日本国内における旅行消費額は、26.7兆円である。内訳は、日本人による国内宿泊&日帰り旅行で、なんと約80%の21.1兆円。その人数は、約6億人(宿泊3億人、日帰り約3億人)。さらには、日本人の海外への旅行者(アウトバウンド)は、2019年で約2,000万人。今回の観光業への最大の原因とイメージしてきたインバウンド減少は、日本人の旅行自粛による影響のほうが、はるかに大きいといえるのではないだろうか?
これらの状況から、緊急事態宣言解除後もインバウンドの早期回復は期待できず、COVID-19への安全性確保を十分にして、夏休みから今年後半に向けて、日本人の国内旅行者、加えて海外旅行へでかけていた日本人を国内旅行に取り込める手法が実行できないか?と考える。COVID-19でインバウンドが激減して、観光産業が危うくなっているというマスコミの報道からは、実態を把握することが難しく、正確な情報を下に現在の危機からの早期回復を目指すべきではないかと考える。
例えば、京都では、街中にインバウンドあふれ、地元住民でさえ生活に困る話題も多く出ていたようだ。ところが、COVID-19により、インバウンドはほぼ消滅し、大きな打撃を受けた。一方で日本人の観光客は、インバウンドだらけの京都に嫌気をさし、訪問しなくなり、行き先を変えたのかもしれない。改めて、原点に立ち返って、日本人の国内旅行にフォーカスを当て、戦略の見直しが必要になるのであろう。
政府は、2020年度補正予算案として、1.4兆円規模の旅行費支援策「Go To Travel キャンペーン」事業を計上したという。具体的には、「消費者一人当たりに対して宿泊・日帰り両行商品代金の2分の一相当、1人1泊あたり2万円を上限として補助する。」というもの。キャンペーンの目安は、宿泊旅行ベースで5,000万人泊程度の喚起を見込んでいるという。上記統計の年間約3億人の国内宿泊旅行。日本人の全体旅行費用約26.7兆円に比べれば、どれだけの効果を狙えるかは疑問である。ただ、補助金の倍から三倍の自己負担の消費効果を考えてみれば、ある程度、観光産業などへの貢献ができる数字なのかもしれない。
先が見えずに、COVID-19の制限が続く中、消費者は目に見えない不安に、積極的に観光に出かけようという気分には程遠い。最終的には、COVID-19のワクチン&治療薬の登場を待つしか仕方がないのか? そんな中でも、行列ができるレストランが存在することも大きなヒントがあるのかもしれない。皆様におかれてはくれぐれも体調管理にお気をつけて、日々をお過ごしいただきたい。
令和2年6月吉日
悟空の里主人 金森 悟
●2020年05月 テレワーク
●2020年04月 緊急事態宣言
●2020年03月 COVID-19
●2020年02月 健康管理
●2020年01月 咀嚼と食事
●2019年12月 変わらぬ風景