2021年10月 旅立ち

 中学生の頃、「出発(たびだち)の歌―失われた時を求めて」(上條恒彦)という曲があった。
当時は、明るいテンポで前向きに進み始めるというイメージでとらえていた。その内容は、「別れ」でもあり、次への「出発」という意味を含めていたことを後に気づく。この曲を検索していたら、「旅立ちの唄」(Mr.Children)、(合唱曲)「旅立ちの日に」、同じく「旅立ちの日に」(川嶋あい)などが出てきた。関連して、学校の卒業式に使われる曲として人気曲のラインアップを見つけた。全年代では「仰げば尊し」が人気高く、10代&20代は、「3月9日」(レミオロメン)、合唱曲「旅立ちの日に」。それぞれの年代から、「贈る言葉」(海援隊)、「卒業写真」(松任谷由実)、「なごり雪」(いるか)、合唱曲「翼をください」、「さくら」(森山直太朗、ケツメイシ)、「栄光の架橋」(ゆず)、「道」(EXILE)、「手紙~拝啓15歳の君へ」(アンジェラアキ)などがリストアップされていた。

 「旅立ち」とは、ひとの成長の過程。若者にとって代表的なのが学校の卒業式ではないだろうか?
進学、就職、結婚などを機に、今まで仲のいい友人たちと過ごした学生生活環境から、新しい友人たちとの出会いと生活が始まる。社会人としての新しい船出、親から独立しての一人暮らし、結婚して伴侶との生活が始まる。そんな人生の節目節目で心に残る曲があるのではないだろうか。その曲を聴くと、卒業式の情景、学生時代の部活等々の体験、友人を思い浮かんでくる。音楽と記憶の関係は奥深い。自分自身、小学校6年生の日光修学旅行の際、旅行先で、朝から具合が悪く、イベントを休んでホテルに残った。その際にロビーラウンジに流れていた「いつしか少年は大空飛んでいた・・・♪」という曲が今でも記憶に残っている。今回、原稿を書くにあたり、初めて検索すると、曲名は「鳥になった少年」(田中のり子)であった。

 時の経過とともに、歳を重ねると、また違う旅立ちに出会う。
私事としては、6年前に、父が86歳、母が79歳で続けて旅立った。その前には、高齢の親戚筋も。年齢的にも親の年代が80歳以上になり、日本人の平均寿命に近づいている。ただ、人生100年時代といわれるようにもなり、今後、健康で長生きできることが大切である。先週、一つ年下の友人(62歳)が病気で旅立った。ここ5年ほどの間に3名の年齢の近い先輩、後輩をお見送りした。同年代の人たちが旅立つことは、ショックでもあり、とても寂しい。また家族ぐるみでお付き合いしていた残されたご遺族との接点が無くなってしまう方、続く方、それも様々である。そして、自分自身の生命保険営業という仕事柄、お元気な時に出会った方のお見送りの機会が少し多いのかもしれない。

 色々な旅立ちがある。とらえ方としては、悲しさよりは、次への希望として、人生を前向きに楽しんでいこう。という気持を優先させることが秘訣なのではないかと感じる。そこにステキな音楽が寄り添うことも心を癒してくれるに違いない。人生の区切り、それぞれ前向きに受け止め、楽しんでいきませんか!!

令和3年10月吉日
悟空の里主人 金森 悟