2022年01月 最中とたい焼き

 仕事で動き回る中、顧客の顔を思い浮かべながら手土産の品を決める。
最近、「空也のもなか」が加わった。夏目漱石も好んで食べ、代表作「吾輩は猫である」のなかにも「空也餅」として登場している「空也」は、明治17年に上野池之端で創業。戦災で焼失後、昭和24年に現在の銀座に移り営業している。素材を大切にすべて自家製で銀座のお店で造り、店頭売りのみ。(デパートなどでの販売、ネット販売、地方への発送もやっていない。)10個入りの箱で、1,100円である。

 昨年から、「空也のもなか」を事前に予約して買いに出かけ、手土産として活用している。孫も気に入り、喜んでくれている。きっかけは、COVID-19禍、昨年8月、銀座で開業している友人のクリニックにゆく途中、行列があるお店お見つけ、時間潰しに覗いてみた。「あ~、これがあの有名な空也だ!!」と気付く。いままで聞いたことはあっても、食べたことはなかったかも?? その日は、予約なしでも3箱購入ができた。友人に話をすると「よく手に入ったね!?」と驚かれた。そんなにも大変なもの?とネットで調べてみると。「予約の電話もつながらず、かなり手に入れることは難しい。」とのコメント多数。COVID-19禍の状況が継続している中でも、年末年明けは、予約なしでは購入できなかった。朝一番ででかけても、お店には「本日の分は売り切れました。」の張り紙が。予約で完売したのであろう。もなかは、箱を開けると、しっかり火を通した「焦がし皮」の香ばしさは何とも言えない魅力。そして、しっかりとした甘味のある餡の組み合わせが絶妙。この皮を焦がすのは、空也の初代主人が懇意にしていた歌舞伎の9代目市川団十郎が、ありあわせの最中を火で炙っていたことをヒントにし、取り入れたものといわれている。購入後すぐに食べても美味しいが、時間が経つと皮と餡が馴染んできて食べごろになる。と、長年にわたり愛されてきた「空也のもなか」の魅力を楽しませてもらっている。

 加えて「たい焼き」。東京には、「たい焼き御三家」がある。
① 「たいやきわかば」(新宿区若葉・JR四ツ谷駅近く)、
② 「柳屋」(中央区日本橋人形町)
③ 「浪花屋総本店」(港区麻布十番)

 かなり以前から、①と③は、手土産として活用している。(②はまだ未体験。)たい焼きだけではなく「餡」だけの販売もしており、こちらもおやつ代わりに購入することもある。たい焼きについては、しっぽまで餡が入っているとか、頭から食べるか?尻尾から食べるか?とか、いろいろこだわりがある話をされる方がいる。私は無頓着で、皮のパリパリ感とたっぷりの餡を楽しむのが好きだ。ちなみに私は、昔から頭から食べている!お店では、包装の準備をしてもらっている間、①と③には、お茶と一緒に食べられる場所があり、一尾では足りず二尾をいただくことにしている。短い時間だが至福の瞬間でもある。

 最中もたい焼きもそれぞれのお店で「餡」にこだわりがある。年齢を重ねると、インパクトある甘さは遠慮がちであるが、空也、わかば、浪花屋の餡は、お気に入りである。フランス・ニース在住の松嶋啓介シェフの教えに影響され、「砂糖&塩なし」にこだわり餡を自作で何度か作ってみた。小豆に米麹の組み合わせで、なかなかイケるものが完成。今年一年も、今まで同様に月一回のメッセージを発信していきますのでお付き合いいただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。

令和4年1月吉日
悟空の里主人 金森 悟