2023年09月 祭り

 猛暑は一段落し、夕方には、秋の虫の音が聞こえるようになった。
COVID-19は五類になったが、まだ感染した話が増えている。皆様いかがお過ごしであろうか?

 以前住んだことのある長野県諏訪市、毎年8月15日に、諏訪湖の花火大会がある。今年は4年ぶりの開催。水上から打ち上げる花火は、スターマインと呼ばれ、扇状に広がり、下半分が湖面に映り、独特の迫力&見どころがある。夏、この花火が終わると秋が訪れるといわれるほど、季節の変わり目の行事である。

 9月2日、5年ぶりに富山県・八尾町でおこなわれる「おわら風の盆」へ出かけた。この祭りは、毎年9月1日から3日に開催される。江戸時代・元禄に生まれ、夏の嵐による不作を避けたいという願い。加賀藩から下された「町建御墨付文書」を手に入れた喜びにより、三日三晩踊り明かしたことが起源といわれている。後に、二百十日の風の厄日に風神鎮魂を願い、豊作祈願として「風の盆」と称する祭りに変化してきたといわれている。女性は、浴衣に編み笠を被り、幻想的で優美に踊りながら町流しをして進む。男性の踊りは、静かに力強い。お祭りといっても、賑やかなものではなく、陽が落ちて、哀調ある音色を奏でる胡弓や三味線に合わせて街を流してゆく。普通の祭りが「動」であれば、こちらは「静」という感じである。会場に向かう途中の草むらからは鈴虫の音が聞こえ、すっかり秋の装いであった。今年は3日で、19万人が訪れたといわれている。今回、両親そして私の出身の地である富山市の親せきも訪ねた。今年はお天気も良く、父の実家では、通常より1週間ほど早い稲刈りを始めるという。台風の被害もなく、今年もおいしいお米がとれるようだ。

 昔から、神事で五穀豊穣、無病息災を願い、各地で伝統ある行事で、踊り、音楽、衣装などなど、古から受け継がれてきている。日本の三大祭りといえば、「祇園祭」(1000年以上、八坂神社の祭事)「天神祭」(平安時代・1000年以上)、「神田祭」(江戸時代、神田明神)。さらには、徳島阿波踊り、東北四大夏祭は、「青森ねぶた祭」(青森)、「秋田竿灯まつり」(秋田、豊作祭)、「山形花笠まつり」(山形)、「仙台七夕まつり」(宮城)などがある。ある旅行会社の日本の祭りランキングでは、1位は、東北四大夏祭、2位は、「おわら風の盆」、3位に阿波踊り、4位に祇園祭り、・・・。そもそも祭りとは、稲作中心の生活をしていた日本では、春は豊作を願い、夏は、台風、大雨、害虫などの被害が少ないことを願い、秋は、収穫を感謝することに由来し現在に至る。

 海外で「カーニバル」(謝肉祭)というキリスト教のお祭りをご存じだと思うが、意味は「肉をとりのぞく」。四旬節が始まる灰の水曜日の前夜に開かれる肉に別れを告げる宴のことで、断食の前に行われる。冬の悪霊追放、春の豊作。幸運祈願に由来しているといわれている。

 国が違っても、豊かな生活を送るために、五穀豊穣、無病息災を願い、多くの人が祈り、お祝いする行いが時を超えて受け継がれてきていることは素晴らしいことである。子どもの頃のお祭りといえば、出店があり、金魚すくい、射的、たこ焼き、焼きそば、チョコバナナ、綿あめなどを買ってもらうのが楽しみであった。祭りの意味など知らず、遊園地へ行くような気持であった。そんな子供心をつかみながら、そもそも神事である「祭り(祀り)」が受け継がれていくのであろう。

 皆さんも地元のお祭り、有名な日本のお祭りに出かけてみましょうね!!

令和5年9月吉日
悟空の里主人 金森 悟