2022年04月 機会を与えること
私の35歳の娘と33歳の子供は家庭を持ち独立した。子育ては10年近く前に終わったことになる。
今は5人の孫の日々の成長が楽しみである。この春には、小学校4年生&1年生(2人)に進学した。小学校入学で思い浮かべるのは、「ランドセル」ではないだろうか? 今では、かなり早い段階から、手配をする。昔と違い、「男の子は黒、女の子は赤」との決まりは無く、ピンク、黄色、紫、茶色などカラフルであり、好きな色は早めに注文しないと、入学式まで、間に合わないこともあると。
先日、小学4年生の孫娘に学校の部活動について話を聞いた。茶道、お花など昔から聞く名称に加え、「室内遊び」、「屋外遊び」クラブがあると。あまりピンとこないが、勝手にイメージすると、「室内」は、将棋、囲碁、オセロに始まるボードゲームのようなもの。または、椅子を丸く並べ座り、または室内を動き回って行うゲームとかダンスなどであろうか?「屋外」は、室内を動き回る屋外版、または、キャンプファイアーの火を囲んで、歌ったり踊ったり??(私自身、50年近いボーイスカウトの経験が、当時を思い出させる。)孫娘との会話の中、「抹茶が好きではない。」、「つぶ餡よりこし餡がいい。」と、茶道向きではないというが、お茶とお菓子をいただくのが目的ではなく、礼儀作法を学ぶ良い経験になると思うが。視点は違うようだ。
先日、私のいとこ(85歳)の葬儀があった。私自身の親の代は、7人兄弟であったので、いとこといっても20歳以上差がある。孫たちもお通夜に参列させていただいた。娘が、3人の子供を連れて、焼香台に立った際に、孫たちは、焼香が初めてであった。娘は3人の子供の面倒を一斉に見ることができない。ただ、何をしていいのかわからず立ち尽くす孫二人。私が急いで駆け寄り、焼香の仕方を見せて無事終了。何事も経験である。礼儀作法は、本来は親が教えるべきなのかもしれないが、子供のころから習う機会は、多くはないのであろう。日本には、茶道、華道、剣道、柔道など、古くからの「道」というものが、稽古事として礼儀作法を身に着けられる場である。(ちなみに、私は中学時代「剣道部」にいたことがある。)
私の個人的な考えであるが、親の、大人の責任は、子供たち、若手に、色々な体験をする環境を与えることと考えている。私自身の経験から教えられることには限りがある。色々な分野の専門家に任せるのが、正しく、また早く習得させる方法ではないかと思う。そのためには、自分の友人知人などのネットワークを通して、その道の経験者を紹介すること、その場へ連れて行くことが大切になるのではないであろうか?
娘が学生時代、ロータリークラブ、日本テニス協会などの社会奉仕イベントの手伝いをさせた。多くの人に接して、「接客の仕事が楽しそう」との印象を持ったという。そのあと、仲間が経営する日本料理&フランス料理のお店でアルバイトの機会を持った。結論は、お酒の席の経験などを通して、就職する際には、「接客の仕事にはつかない」という選択をした。これは、経験を積んだことによって、自分が選択肢を広げて、自分に合った道、自分には好まない道を選べた経験になったのだと思う。
アウトドア系の私は、子供たちを連れて歩いた。テニス、スキー、プール、海岸、高原、温泉などの体験型が多かった。私の父は、運動はあまりしなかったので、山登り、温泉、絵画、美術館などに連れていってくれた。ゴルフ練習場へは何度か一緒に出かけたが、コースを回ったのは、弟の結婚式でハワイに行った際の一度のみ。私自身は、親に与えられた環境が、自分の子供時代の活動に影響した部分はあまりないのか?ただ仕事については、父が損害保険会社の代理店に勤務し、私が同様な保険業に携わったのは偶然か?
孫については、プール、スキー、セミ採りなどへ連れ出した。細かなことでは、某所で、リンゴを一人一ついただき、丸かじりをしようと言った際に、孫たちが「ポカン??」とした光景が忘れられない。彼らの人生の中、リンゴは、親が皮をむき、切ってお皿に出てくるのが常識で、丸かじりの発想は、見たことも聞いたことも無かったということ。丸かじりの楽しさを覚えた孫は、同じ場所を訪れると、「今日もリンゴ食べたい!」とリクエストするようになった。身近では気づかないしぐさ、行動は、親が、先生がしている光景を見たことがなければ、年齢を重ねても、全く知らずに成長してしまう。まだまだこの先も、子供が、孫が見たこと聞いたことのない経験は、私が実践して、示してあげることができるのではないかと思う。
大した人生を過ごしてきたわけではないが、まだまだ若者に伝えることが、たくさんありそうだ。皆さんもご自身のご経験など、お子さん、お孫さん、若者に伝えてあげませんか?
令和4年4月吉日
悟空の里主人 金森 悟