2021年09月 白い彼岸花

 猛暑の夏が過ぎ、雨が続き気温も下がり、すっかり秋の訪れを感じる季節になった。
COVID-19禍、健康維持のためにも、できるだけ毎日1~1.5万歩を1.5~2時間歩くことにしている。
歩きながらのBGMは、セミ時雨から秋の虫の鳴き声に変わってきた。

 明治神宮から代々木公園周辺を回るときは、100年経過した杜を抜け、静かな、凛とした空気を感じながら足を運ぶ。猛暑の中でも、杜の中は、気温も低く過ごしやすい。また皇居一周の時は、ランナーに交じりながら、ゆっくりと歩く。静かに水を蓄えた濠を眺めながらのウォーキングは、心が落ち着く。その日その日の風によっては、さざなみが立ち、水面の表情が変わる。大手濠(大手門辺り)には、白鳥がゆったりと過ごすのを見かける。桜田濠(桜田門辺り)では、複数の鴨が遊ぶ光景が見られる。先日、皇居のご主人様が移られた日、珍しく桜田濠で白鳥に出会った。濠は繋がっているので、移ってきたのかな?と思ったが、別の日に行ってみると、大手濠と桜田濠の両方で見かけた。2羽いるのだ。また桜田濠で、初めてアオサギを見かけた。しかし1日のみ。その後、かなり離れた清水濠で再会した。日々変わる光景を楽しみながら歩いている。先日、桜田濠の土手に「彼岸花」を見つけた。9月中旬から下旬にかけて開花し見ごろを迎える。

 「曼殊沙華」とよも呼ばれ、サンスクリット語で「天界に咲く花」、「見る者の心を柔軟にする」という意味を持つ。以前、我が家の庭に真っ赤な彼岸花が群生し、目を楽しませてくれた。あまり気にしたこともなく、いつの間にか現れ、いつの間にか消えていた。彼岸花は、「赤」であると認識してきた。ところが、桜田濠の土手で見つけた彼岸花の写真を納めていた。そこから数分足を進めると「白」い、彼岸花によく似た花と遭遇。これは別の花??とその場でネット検索。「白の彼岸花」であった。今まで出会うことがなく、実際に見たこともない、聞いたことがないものは数多ある。そのひとつであった。

 もっと調べると、5色(赤、白、黄、ピンク、オレンジ)あるようだ。次の3色の「花言葉」を見つけた。
1) 赤 : 情熱、独立、再会、あきらめ、悲しい思い、想うはあなた一人、また逢う日を楽しみに
2) 白 : また逢う日を楽しみに、想うはあなた一人
3) 黄 : 悲しい思い出、追想、深い思いやりの心、陽気、元気

 さらに調べると、「彼岸花」は、染色体が基本数の3倍ある「三倍体」で、正常な卵細胞や精細胞が作られず、「種なし」。種子では子孫を残せないと。土の中で、球根を作り株分けし繁殖する。また球根には、アルカロイドという毒を有し、モグラ、ネズミ等から稲や野菜の農作物を守るために植えられた。との説もある。

 今回の「彼岸花」のように、「そんなことも知らなかったの??」という意見もあるであろう。しかし先月63歳を迎えた私にとっては初めての見聞であったのは事実。現在は、インターネットの社会、手のひらで調べることができる。また先日、友人にヨックモック美術館で開催中の「ピカソ展」へ連れて行ってもらった。ピカソ製作のセラミックが展示されていた。ピカソは、油絵、版画だけであったとの思い込み。次々に起こる初めての出会い。この先も、どんどん色々な場所へでかけ、多くの人と話を交わす。まだまだ孫悟空がお釈迦様の手のひらで飛び回っていいた状態なのであろう。父が家の壁に色紙を飾っていた。吉川英治作の「吾以外皆吾師」。いくつになっても、誰からでも学べることがたくさんあると認識している。

 益々これからが楽しみになってきた。皆さんもどんどんやってみませんか。

令和3年9月吉日
悟空の里主人 金森 悟